大蔵流狂言師の大御所のお一人
二世 茂山千之丞様です。
大学生の頃、人形劇に興味を持ち、京都の人形劇団京芸さんの研究所に入所し、憧れの人形美術家、谷ひろしさんの舞台美術道具製作のアルバイトに入らせていただいた初仕事の作品が、京都オペラ会の茂山千之丞様演出、谷ひろし美術のオペラの仕事でした。
演劇のことはむろんの事、舞台美術も劇場のしきたりも何も分からない全くの素人の私が、初めて垣間見た本格的な舞台芸術の世界でした。
当時大きな大道具が完成し、その運搬にご子息の茂山あきら様が劇団の稽古場兼アトリエまでトラックを運転され道具を取りに来ていただいた事も鮮明に思い出されます。
ぺーぺーの私まで、オペラの舞台が跳ねた後の交流会にまで参加させていただき、千之丞様の行きつけのお店でご馳走になった事を今も鮮明に覚えています。
わが師匠美術家の谷ひろしとも親交が厚く、色々なお仕事を一緒にされていておうわさもよくお聞きしておりました。
昨年から福知山に狂言を観る機会を創りたいと始めた「福知山狂言会」で、第2回目の今年、大蔵流茂山家をお迎えしてこの春に公演させて頂いたばかりでした。
千之丞様のご子息茂山あきら様をはじめ、お孫さんの茂山童司様にも出演頂きすばらしい狂言を楽しませていただきました。
何年か後には、ぜひこの福知山狂言会の舞台で名人芸を拝見したいと思っておりましたのに、突然の事でとても残念であり、無念なことです。
偉大なる狂言師のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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